昨年末に中国財政省は一部の輸入税率の引き下げを発表し、今年1月より適用されました。
WTO最恵国税率よりも低い暫定輸入関税率を導入して、国内産業の継続的な発展を目指すものです。
暫定輸入関税率を適用して減税される主な対象商品は
・光通信機器
・先進型製造設備
・電気自動車用部品
・エチレン
・フェロニッケル
・石炭製品
などです。
一方で暫定輸入関税率を取り消したり、暫定税率を上げる製品もあり、輸入構造の改善をはかる狙いがうかがえます。
■暫定輸入税率とは何か?
世界各国の輸入関税のしくみは、1商品1税率ではありません。
輸入相手先国ごとに以下のような基準をもとに関税率が決められています。
・関税法で決められている基本関税
・WTO協定国で取り決めの最恵国待遇を対象とした関税
・期間限定で特定品目を対象とした暫定関税
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵関税
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国を対象としたEPA関税
中国の輸入関税制度も同じ考え方、しくみになっています。
今回の暫定輸入関税率の導入は、WTO協定国からの輸入商品を対象に期間限定の暫定税率を適用するとの意味です。
具体的な引き下げ税率は発表されていないので詳細は判明しませんが、少なくとも日中間の輸出取引では現行のWTO関税よりは下がることになります。
■原産国とは?
世界の関税制度は、世界全体の貿易振興をはかるため原産国ごとに関税率の特典を与えています。原料を輸入し第三国で加工を行うケースも
普及し、原産国の判定が難しくなりつつあります。
この機会に原産国についても触れてみたいと思います。
原産国を判定するには以下のいずれかの方法があります。
・HSコードで判定する方法
輸入原料と製造した商品のHSコードが違えば、製造した場所が原産国となります。
たとえば、小麦とバターを輸入してパンを製造した場合などが相当します
・輸入原料費と製造加工費の比率で判定する方法
(FOB価格-非原産材料の価額)/FOB価格×100=40%以上
つまり、輸入原材料と製造加工費のコスト比率の高いほう60%以上を原産国とする考え方です
原産国ごとに関税率は違ってきますので原産国を明確に判定することが重要になるわけです。
2015/01/05